Salone Satellite 2024 出展作品
伝統的な麻布に形状記憶機能を与えた新たな布「Omi 3D」

【はじめに】
Omi 3Dは温めれば何度でも好きな形を作れる新しい布である。本プロジェクトでは、伝統的で豊かなテクスチャを持つ滋賀県の湖東地域で生産される近江上布の「生平(きびら)」に形状記憶機能を与えた新たな布「Omi 3D」を開発。それらの特徴を活かした照明シリーズをデザインした。

【近江上布とKURANOIE】
近江上布は非常に長い間、革新を繰り返し、伝統と技術を受け継いできた。そんな近江上布に2023年設立のクラノイエの新たな風を加え、継承してきた魅力と未来への可能性の両方を発信する。

【Omi 3D】
生平は手積みの麻特有のハリのある硬めな質感が特徴の生地である。指先で縒りをかけながら繋いだ大麻(ヘンプ)の糸を地機(じばた)と呼ばれる稀少な織り機で織ることで生み出される、歪なテクスチャーが魅力的な布である。このような特徴を持つ生平に樹脂の糸を加えることで、熱を加えて曲げ形状を記憶することを可能にし、誰でも直感的に麻布製品を作ることができる。

【Omi 3D light】
今回は私たちKURANOIEのメンバーがOmi 3Dを活用して照明シリーズをデザインした。心地よい形を探りながら、透け感や弾力、歪なテクスチャなど、素材の特性を最大限に引き出せるような自然な面に仕上げた。生平の持つ特有のテクスチャーを通した光はより柔らかく繊細な光となって空間を包み込む。また土台は生平を留めた時に美しい円弧を描く形状とし、留め具はそれらを最小の要素で留めることができる形状とした。
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